畑を借りることができて、まず考えたのが育苗ハウスの位置です。
畑の入口から近い所がいい。
横幅五メートル縦幅二十メートルくらいほしい。
車を横につけられるくらいのスペースは確保したい。
などなど。。。
当時はハウスの中で何をどのくらい育成させるのかほとんどイメージはできていませんでした。
ただ、就農前に見学や体験、お話を聞かせていただく中でこのくらいあれば…という感覚だけはありました。
余談ですが今でもそのハウスは使用していて、若干狭くなってきたのでもう一つハウスを建てようかと思案中です。
当時、ハウスを建設しようとした時期はもう4月に入っていたので、早く夏野菜などの育苗を始めないと…と焦っていました。(夏野菜の種まきは3月、温暖な地域では2月から行われるかと思います。)
そして、どこで買うのが一番早く、安く、良質のパイプなど資材が手に入るか(とても贅沢な考え)、何か所も電話や訪問をしました(10か所くらいは比較しました。)こういった汎用性の低い、言ってしまえば人生で何度も購入しないような買い物の商品は、価格にとても差があると感じました。住宅や車などは、消費者がそのものの標準価格を把握しやすいので、販売業者もその時の適正価格を常に把握しているものですが、こういった農業資材は消費者(中でも高齢者や情報収集の機会が少ない方々)が長年の付き合いなどでそのまま購入に至ってしまうので、販売業者が優位に立っているケースもあるかもしれない…(予想です。)と感じさせられました。
結局、隣県の資材販売業者さんと農協さんとどちらで購入するか迷っていましたが、その頃は新年度になったばかりで農協さんも忙しいかったのかコンタクトが取りづらく、前者の販売業者さんから購入することになりました。価格は30万弱、建設後のサイズはだいたい幅6m奥行き20mというイメージです。当時私が探した中では一番安い商品でした。
届いたパイプハウスの資材は、耐雪用という肉厚の22mm径パイプで、とても重い…。それでも初めてのパイプハウスづくりにワクワクしていました。
これから一緒に農作業をすることになる仲間と共に、端から少しづつ組み立てていきました。
ハウスの組み立て時に必要なのは水平にすることだと、近隣の農家さんから教わっていました。これがハウスの組み立てを容易にするし、悪天候に強くなったり、後々矛盾が生じることが少なくなる(これは当時はわからなかったのですが、今思うとハウスのビニールの張替えや補強などする際に確かに重要なことでした。ただすごく神経質になることもないかと思います。)と…。
仲間とあーだこーだ言いながら、およそ3日かかりましたが、あとはビニールを掛けるところまでは出来上がりました。
ここで、ハプニングが起こったのが、仲間と集まろうとするといつも風が吹いている…。この風ではしっかりとビニールを張れないのではないかということで何度も延期しました。
結局、何度か集まってわかったのは、ハウスのビニールを張る作業だけは【朝やること!】。風の強い地域の話ですが、これは間違いないのではと感じました。ただ、何度かビニールの張替えを行っていますが、冬場の気温の低いうちにやるとビニールは硬くなってる場合があり、暖かくなるとパタパタ浮いてくる…なんてことがあります。結構タイミングが難しいし、人手もいるし…農業経営の中でも意外と気を使う場面です。
やっと完成したビニールハウスはとても綺麗で、ビニールは透明で(透明って当たり前ですが、時間がたつと意外とあっという間にかすんでくるものです。)、これでようやく育苗ができるぞと、仲間と喜び合ったのを思い出します。
それから夏野菜の芽が出ない…!とか遅霜で枯れた…!とか、色々あるんですが、知る由もなくみんなで気持ちがよさそうに笑いあって、畑をあとにしました。